デリカD:5(2019年ビッグマイナーチェンジモデル以降)、エクリプスクロス、トライトン に搭載されているクリーンディーゼルエンジン(エンジン型式4N14,4N16)は、排気ガスを浄化するために定期的にアドブルーの注入が必要です。
AdBlue(アドブルー)とは?
年々厳しくなる排気ガス規制に合わせて開発された排気ガス浄化システムの一つが「尿素SCRシステム」です。欧州メーカーから普及が始まりましたが、今では日本メーカーもトラックなどの大型車、デリカD:5などの乗用車など多くのディーゼル車に搭載されています。これは、簡単に説明しますと有害物質とされる「窒素酸化物(NOx)」をアンモニアで化学反応をさせて窒素と無害な水に分解、そして排出するというシステムです。
アンモニアという物質は、腐食性や粘膜への刺激性等があり、危険な物質といえます。そのため、メンテナンス時などでも安全に取り扱うことのできる高品位尿素水(AdBlue)として開発されました。
AdBlue補給目安
アドブルーは、運転時に消費されます。メーカーの説明ですと、おおよそ1,000kmで1L 消費とのことです。
デリカD:5とエクリプスクロスに搭載のAdBlueタンク容量は約16L、トライトンは約17Lなので、使い切る前の約1万キロ~1.5万キロでの補給を想定しているようです。
ただし、乗り方などで消費状況は大きく異なるようで、1万キロから長い場合は4万キロ程度で初めて補充したという方もいらっしゃいます。高速走行や登坂走行など、負荷の大きい走行が多いと消費が早くなる傾向があるようです。
新車時(工場出荷時)は満タンでは無いようですので、想定より少し早めに補給の表示が出るかもしれません。
AdBlue残量の確認
デリカD:5、エクリプスクロス、トライトンのクリーンディーゼル車にはAdBlueの残量ゲージは装備されていません。
代わりに給油が必要になると、メーターの液晶部に「AdBlueを補給してください」というメッセージと、走行可能距離目安が表示されます。
初めは、走行可能距離 約2,000km~2,400kmを目安に表示がされます。
三菱ディーラーなど、専用の故障診断機のある場所では残量の確認ができるようです。
定期点検の際に残量を確認してもらうと安心ですね。
メーター表示で残量を確認する
メーターに「AdBlueを補給してください」が表示された場合、走行可能距離が表示されます。
その走行可能距離から残りのAdBlue量を推定することが出来ます。
表示走行可能距離 | 残量目安 | 推定補給可能推定量 |
2,000km | 約2L | 14L |
1,000km | 約1L | 15L |
600km | 約0.5L | 15.5L |
100km | 約0.1L | 15.9L |
AdBlueを使い切った場合
AdBlueの補給が間に合わず使い切ってしまった場合、エンジンスイッチをOFFにしてしまうと次からエンジンを掛けることが出来なくなります。エンジンを始動するためには、AdBlueの補給が必要です。注意が必要です!
AdBlueの補給方法
AdBlueの補給方法はいくつかありますので、ご紹介させていただきます。
補給時は、3L以上補給しないとセンサーが反応しないようになっていますので、緊急時でも必ず3L以上補給するようにしましょう。
価格の目安は、10Lで ~3000円 程度ですが、ガソリン価格同様、多少の上下はあるようです。価格が気になる方は、店舗に問い合わせてみると良いと思います。
三菱ディーラーでの補給
一番安心なのは三菱自動車ディーラーでの補給です。
AdBlue残量の確認もでき、作業はもちろん、三菱車に詳しいディーラー整備士などが実施するため安心です。
車検や定期点検のついでに補給を依頼すると手間が無く便利です。
価格はディーラーにより異なりますので、問い合わせが必要です。
ガソリンスタンド(トラックステーション)で補給
次はガソリンスタンドでの補給ですが、注意が必要です。
現在走っているトラックなど大型車の多くも尿素SCRシステムが搭載され、AdBlueの補給が必要となり、全国のガソリンスタンド(主に大型店舗)で補給が可能になっています。
ただし、ガソリンスタンドの補給機はノズルの太いものや流速が早いものがあり、あふれる可能性があるということで、三菱車へのガソリンスタンドのAdBlue補給機からの補給は推奨されていません。
補給を依頼する前に、漏斗や別容器を使用しても補給は可能か?などを聞くと良いと思います。
ガソリンスタンドでも、10L等のAdBlueが容器売りされている場合があります。
自分で補給
デリカD:5やエクリプスクロス、トライトンに自分で注入される方も多くいらっしゃいます。
AdBlueは、オートバックスなどのカー用品店、ホームセンター、インターネット通販での購入が可能です。5L や 10L といった容量で販売されています。
作業としては、「AdBlueを注入する」だけですが、”ゆっくり”と”溢れないように”注入しなくてはいけません。
あふれた場合、臭気や塗装などへの影響が懸念されます。特にデリカD:5は室内での補給作業になりますので注意が必要です。トライトン、エクリプスクロスなどは、車外であってもAdBlueが乾くと白く結晶が付着するため、多量の水で洗い流すことが必要になるので、注意しましょう。
補給可能量についても乗り方でかなり大きな差がでますので、溢れさせないためにはメーターに「AdBlueを補給してください」の表示が出てから補充すると良いと思います。
表示の走行可能距離が2,000㎞の表示時には、この時点で約14LのAdblue補給が可能になります。
この時点で1箱10Lの補充を行うと、全量注入でき保管にも困りませんのでお勧めです。
特にデリカD:5の場合はこぼすと室内になりますので、ウェス・漏斗を使用しこぼさないようにゆっくり注入しましょう。

マイカーのデリカD:5に10L補給したことがあります!
スムーズに流れていくので、あまり神経をとがらせる必要はありませんでしたが
ノズルを注すときなどにこぼれない様に養生しておくと安心ですね。
残ったAdBlueの保管
アドブルーは長期間の保管には適していません。なるべく使い切る方がいいと思います。
低温環境下では凍結しますので、-11℃以下にしないこと。
高温環境下では時間の経過とともに劣化しますので、長期に保管できません。
保管は30℃以下で12カ月が目安という記載もありました。
アドブルーは無色透明の液体です。一部結晶化している場合、色がついている場合は劣化や粗悪品の恐れがありますので、購入時や使用時には色を確認してみるのも一つの手だと思います。
他の尿素水の使用
AdBlueが入手しにくい場合や、費用がもったいないと感じてしまう場合などもあると思います。
しかし、絶対にAdBlue以外の液体を入れてはいけません。
AdBlue以外の尿素水、工業用尿素水やそれを薄めたもの、または水 などAdBlue以外の液体を入れてしまうとシステムが異常を検知するようになります。つまりやその他破損・故障を防ぐためにコンピューターにより監視しているわけです。
異常を感知すると、300km走行でエンジン再始動が出来なくなるため、早急に三菱ディーラーでの点検が必要になります。ディーラーにて点検、修理が必要となり、もちろんAdBlue以外の液体を入れた場合は補償対象外となり、余計な費用が掛かってしまいます。絶対に入れてはいけません。

アドブルーは適切に補給しましょう!
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